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ちょこっと役立つ!制作現場のこぼれ話
生成AI編
ちょこっと役立つ情報をお届けする「制作現場のこぼれ話」。
今回は「生成AI」をテーマに、この3年半にわたって私自身が活用してきたリアルな実感をもとに、実務を通して感じたメリット・デメリットや、試行錯誤のなかで見えてきた「活用のコツ」をご紹介します。
AIのメリットとデメリット
AIの作業スピードは抜群! …ただし、平気で間違いも起こす
AIの強み
大量のデータ処理や情報の収集・整理が一瞬
膨大なテキストデータや資料の要約、市場のリサーチ、情報の抽出を数秒〜数分でこなせる
存在するデータ群からの再現力
文章の構成案、企画資料の作成、プログラムのコード生成など、使用者の知見がない分野でもゼロから成果物が作成できる
継続力と記憶力
継続的に変わらないパフォーマンスを発揮し、処理スピードが落ちない
過去のコンテキストを保持しているため、指示や前提条件を一から説明し直す必要がなく続きから作業を再開できる
AIの弱み
誤情報や捏造の発生(ハルシネーション)
事実とは異なる情報や存在しない事柄を出力し、正しい情報であるかのように提示する
AIのこの挙動をハルシネーションという
出力結果の画一化・オリジナリティーの欠如
過去のデータ学習に基づいているため、定型パターンの結果に収まりやすい
独自性や尖った個性を生み出すには、高精度モデルと使用者側での高度なプロンプト設計が不可欠
著作権やセキュリティ上の問題
意図せず既存の著作物に酷似した出力を行ったり、学習データに起因する権利侵害のリスクをAIは自覚・判断できない
つまり、相性の良い分野では圧倒的なスピードで成果を出せますが、そうでない分野では都度修正の手間がかかるということです。
そして何より、現状においては人間の目によるファクトチェックや調整が不可欠であるという点が重要になります。

※画像引用:Google Gemini
現行の主力モデルのひとつであるGoogle「Gemini」にある注意書き。
最新モデルでも間違いは避けられません。
なんでもできる「魔法のランプ」という幻想からの脱却
実用的なワークフローの構築
最新のAI活用においては人間が大枠の方針提示と品質チェックを徹底し、AIエージェントが実務の自動化・最適化を統括するスタイルが主流になりつつあります。
人間の思考力とAIの実行力を組み合わせた、次のような「人間×AIエージェントの連携フロー」が、現在のデ ファクトスタンダードです。
AI活用の最新フロー:人間とAIエージェントの連携
全体方針の提示と品質の最終チェック・判断を担当
AIの出力を監視し、ファクトチェックや倫理面・ビジネス方針に沿った微調整を行う
1. 統制・監視
人間(Human)
目的・要件の提示 / 成果物の監修 / 最終ファクトチェック
人間の指示を解釈し、自律的にタスクを分解・管理
最適な生成AIモデルを選択・指示し、出力結果を統合してまとめる司令塔の役割
タスクの自動分解 / 最適モデルへの割り振り / 結果の自動検証・再試行
2. 統括・命令
AIエージェント
AIエージェントからの指示に基づき、専門領域の成果物を生成
テキスト、コード、画像、音声など個別のタスクに特化してデータを出力
文章作成 / プログラムコード作成 / 画像・動画の作成
3. 実行・生成
各種 生成AI

映像コンテンツ制作におけるAIの立ち位置
具体的な活用方法とリスク管理
それでは、ここからは映像コンテンツ制作の現場にAIをどのように組み込み、どう活用していくのが良いのか、弊社の事例を交えてご紹介します。
まず、どの工程でAIを活かせるのかと、AIではなく人が担うべき工程の抜粋を見てみましょう。
AIが担う工程
・企画、コンセプト立ち上げ時の情報集約
リサーチや関連資料の取りまとめ / ターゲット層の設定 / ドラフト資料の作成
・参照可能なアセットからの生成
仮ナレーション / 文字起こし / 言語翻訳
・定型作業の効率化
動画編集時の無音カット / テロップの下書き
・修正作業におけるデータ処理
画像のリファイン(高画質化・ノイズ除去)/ 音声修正
人が担う工程
・要件の方向性、ニーズや背景の汲み取りと把握
潜在的ニーズや顧客インサイトの抽出 / 市場のトレンド感の反映 / 専門用語のニュアンス確認
・独自性、演出の付加
ブランディング / ニーズに合った制作物の構築 / クリエイティブ視点での付加価値の追加
・手作業での作成が必須な工程
デザイン・CG・モーショングラフィックスの作成 / OKテイク・素材の選定 / 表現の微調整
・情報管理
著作権・権利確認 / データおよび情報のセキュリティ管理
・検品と最終確認
ファクトチェック / ブランドやコンセプトの整合性の判断
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AIの特徴であるデータ参照+収集+集約を必要とする箇所はAIに任せる
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制作の根幹である要件定義やクリエイティブ工程は人が携わる
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AIの誤った情報提示も考慮したうえで、人が必ず監修と監督として介入する
この役割分担と連携の構造が、現時点で有用な選択肢であるといえます。
映像制作における「人×AI」連携モデルの一例
要件定義
企画・コンセプト
下案・仮ナレ・資料の作成
撮影・ナレーション
検品・最終確認
粗編・ラフデザイン
本編集・CG・VFX

制作現場における
生成AIの利用のNGパターン
制作現場においてAIを活用できるシーンがある一方で、その特性上、AIを利用することでデメリットが上回るシーンも存在します。
生成AIメインのワークフローによる工数増加とコンテンツの破綻
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作り出しから完成まで生成AIをメインに据えたワークフローの場合、プロンプト試行と選別の繰り返しで、手作業より圧倒的に時間がかかる
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ランダム性に頼るためピンポイント修正が反映しづらく、かえって工数が増える
生成AI



選別した出力の修正



選別した出力の修正






…
N個のランダムな出力結果
修正を反映した
N個のランダムな出力結果
さらに修正を反映した
N個のランダムな出力結果

“どこかで見た顔”になるリスク
AI学習モデル起因の「出力均一化」とブランディングへの弊害
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生成精度が高まった反面、破綻のない「無難な出力結果」に収束しやすい
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意図せず他社が起用しているAIモデルや人物と酷似し、ブランドとしての差別化を図れなくなる
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既存のAIキャラクターや他社が権利・ライセンスを確保している生成物と類似・重複した場合、意図せぬ著作権・権利トラブルに発展するリスクがある
A社が生成・採用した
AIキャラクター
B社が生成・採用した
AIキャラクター


関連の無い企業が個別に生成を行ったが、同じ基盤AIモデルやAIサービスを使用したため、
意図せず同じキャラクターや顔になってしまう例

生成AI利用でNGパターンに陥らないための対策
生成AIをプロトタイプ・草案作成に活用し、人のデザイナー・クリエイターが 完成させるフローを採用する
人がファクトチェック・ブランドやコンセプトの重複が無いかの判断を行う
顧客・クライアントにリスクの共有を図り、合意を得たうえで実施する

生成AIは、正しく活用すればコンテンツ制作のスピードと表現の幅を大きく広げてくれる強力なツールです。しかし同時に、ハルシネーションやデザインの画一化、著作権・情報管理上の問題とも隣り合わせとなっています。
大切なのは、すべてをAIに委ねるのではなく、「人の思考力」と「AIの処理力」を適切に掛け合わせたワークフローの構築です。
AI × Human Sensibility
コンテンツの作り手としてオズクラフトワークが大切にしているのは、「表現の温度感」と「人の感性」です。これからも進化を続けるAIという要素を柔軟に取り入れながら、人にしか生み出せない表現の可能性を探求し続けていきます。
これから制作の現場でAIを活用してみようと考えている皆さまにとって、本コンテンツが少しでも参考になれば幸いです。

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